クマ出没対策、発砲判断は現場に委ねる:北海道猟友会が緊急銃猟開始前に苦渋の決断

2025-08-20
クマ出没対策、発砲判断は現場に委ねる:北海道猟友会が緊急銃猟開始前に苦渋の決断
毎日新聞

9月1日にスタートする「緊急銃猟」制度を前に、北海道猟友会が道内の全71支部に重要な通知を出しました。それは、クマやイノシシによる市街地への出没が増加し、人身被害の懸念が高まる中、現場のハンターが状況に応じて発砲を断って良いというものです。

緊急銃猟とは、市街地に出没するクマやイノシシなどの鳥獣が人々の生活や安全を脅かす場合に、国や都道府県が猟友会に駆除を依頼する制度です。これまで、市街地での鳥獣の駆除は原則として禁止されていましたが、鳥獣保護管理法の改正により可能となりました。

しかし、今回の通知には、緊急銃猟によって人身被害が発生した場合の補償制度がまだ整備されていないという深刻な問題が含まれています。つまり、ハンターが発砲した結果、万が一事故が起こってしまった場合、ハンター自身がその責任を負う可能性があるのです。

北海道猟友会は、この状況を重く受け止め、現場のハンターに対し、安全確保を最優先に考え、慎重な判断を求めています。クマやイノシシの危険度は状況によって大きく異なるため、一律の発砲基準を設けることは困難です。そこで、現場のハンターが、周囲の状況、人々の安全、クマやイノシシの行動などを総合的に判断し、発砲するかどうかを決定することになったのです。

今回の苦渋の決断は、ハンターの安全と、地域住民の安全を両立させるための、やむを得ない措置と言えるでしょう。緊急銃猟の開始と同時に、補償制度の整備が急務となっています。今後、国や自治体が、ハンターの負担を軽減し、安心して緊急銃猟に取り組めるような環境を整えることが期待されます。

クマやイノシシによる市街地への出没は、今後も増加する可能性があります。私たち一人ひとりが、鳥獣との遭遇を避けるための注意を払い、安全な生活を送ることが重要です。例えば、食べ物の残りやゴミを放置しない、夜間の単独行動を避ける、クマ鈴を携帯するなど、身を守るための対策を講じましょう。

緊急銃猟は、あくまでも最後の手段です。より効果的なクマ対策としては、生息地の環境整備や、クマの侵入を防ぐための対策などが考えられます。地域社会全体で、クマとの共存を目指し、持続可能な対策を進めていくことが求められています。

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